■ダークホース
駅伝シーズンということで趣味の駅伝観戦の話が必然多くなる。
箱根駅伝予選会をテレビ観戦。立教大学が堂々の通過! 55年ぶりの本戦参加とのことだ。何と、MARCH揃い踏み、57年ぶりらしい。益々11月25日のMARCH対抗戦が面白くなった。同時に正月の楽しみも増えた。立大、上野監督は佐久長聖―中大コースで立大監督だ。立大もスポーツ系学部を設置とのことで大いに今後が期待される。スカウト戦も熾烈になるだろう。
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先日の出雲駅伝の各校のコメントを見ていて、法大:これぞダークホース、この言葉が脳裏に残った。確かに……。
私の卒業学校は、学問、駅伝と確かに「ダークホース」(笑)。地方の進学校でない高校から少し勉強して入れるような学校(HOSEI)だが、MARCHで大学野球リーグの東京六大学(連盟)のくくり。MARCHがG MARCHになっても、東京六大学連盟(様々なイベントや交流)が東京五(七)大学連盟に変わることはないだろう。1880年からの歴然とした時間がそこには横たわる。だから、田舎の高校生には人気がある。
山一証券の最後の社長の野沢社長の涙の会見。ワンポイントリリーフの菅首相など、その人事にもダークホースぶりが見て取れる。
学部も私大で最古の法学部から、私大で2番目に古い私の所属した経営学部のように歴史がある。同じ学部出身に芥川賞作家の吉田修一氏がいる。芸能人も多く輩出している。NHK鈴木奈緒子アナなど、アナウンサーも早慶に次ぐ輩出数だ。ダークホースの特長は、意外性を発揮することだ。もちろん、発揮しないこともある(笑)。
先日、記載した駅伝とてそうだ。今回の出雲駅伝はダークホースだった。
そのダークホースで、私の脳裏に焼き付いている箱根駅伝名場面がある。
2001年のこと。四区終了時点で奇跡的に予選会を5位で通過したダークホースの法大が首位。往路最終区五区の山登りは標高差864mを一気に登り、芦ノ湖までの23.4kmを突っ走る難コースだ。
法大五区山登りはド根性の男、主将大村一選手だ。
この年の山は大いに荒れまくった。特に山の最高点付近と芦ノ湖ゴール手前の大鳥居付近で凄まじい突風(風神)が吹き荒れた。明らかに突風で前に進めない選手。必死に風に立ち向かう彼の歪んだ顔と日焼けした身体が宙に浮いた、ゴーゴーという風の音、アナウンサーの絶叫! 宙に浮く大村。その隙その時、中大、藤原選手(現監督)がスルスルと前に出た。
後ろから追う、中大、順大に抜かれては、歯を食いしばり、顔をゆがめ、サングラスに隠された鬼の形相の大村がド根性だけで果敢に抜き返しを図る。
結局最後は3位での往路ゴールになった。【H】のユニホームが放映を独占し、アナウンサーがゴールとともに突っ伏し、後に公務員になった彼の名前を連呼した箱根駅伝名勝負のひとコマである。
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さて、来年99回大会を迎える箱根駅伝。1921年の第二回大会から参加の古参学校で唯一優勝経験がない。決して自慢できる話ではないが、そういう特質(意外性を発揮していない場合)がある。陸上スポーツ、特に長距離走は寿命が短いスポーツ種目のため、プロ化(一握り)は難しい。そのため就職先が重要になる。先のレジェンド大村主将は公務員。昨年度の清家主将(四国の南海放送就職)のように大学駅伝を最後に職業的なランナーを退く選手も多い。結局、怪我に泣いたり、我慢したり、つらい練習に耐える彼らのいまは、人生を真っすぐに生きる術を学んでいる姿である、だから応援に力が入る。
99回大会、本物のダークホース校らしく、
一度、箱根路で思いっきり【意外性を発揮】してもらいたい(笑)。