■成功の秘訣
40歳頃のことだが、建築見学にはまったことがある。フランク・ロイド・ライトの建築(タリアセン)を見にいった。シカゴからプロペラ機に乗り換え30分ほどの「マジソン」。そこから車を借りて現地に向かうのだが、シカゴで1日自由時間があったので個人でシカゴ中央駅から1時間ほど電車に乗ってカナダ国境近くの旧知の知人を訪ねた。
中央駅12番線ホームで電車を待っていた。気が付くと、先程まで周囲にいた人たちが誰もいない。「エッ? 何? どうして?」と、思って再度掲示板を見に行くと、14番線に変更になっていた。日本では行先とホームはセットで固定という頭があったので、慌てて14番に移動した。
電車に乗って、目的地までおよそ1時間。車内は満員だった。車掌さんが切符を確認にきたので、切符を見せた。その切符を映画のワンシーンで出てきたように、荷物置場の下のクリップバーにパチンと挟み込んだ。オッ、恰好いい。その思いの一方で、
「エッ?」
どうしてかなぁ~?
このヒトはここで降りる、切符は確認した。そういうことだろうなぁ~。
しかし……、もう一つ、「アッ、切符を回収したのか」、こう考えを深めたとき、その考えは不安を助長させた。駅舎に回収機能がないのかぁ……。
前に座っていた女性に「ここに行くことに間違いないですよね?」、恐る恐る尋ねてみた。彼女曰く「私は先週ポーランドから移住してきたばかりで英語が分からない」、こう英語で答えた。益々悲しくなった。
ナントも複雑な気持ちになり、マップ(当時はスマホがない)を眺めて、次に停車する駅で照合しようと考えた。マップと同じ駅名だったので安心した。
目的地に駅舎は無かった。鬱蒼とした森の中、原っぱだ。公衆電話が1台あった、そこから電話。少しの時間、不安のまま……。そこに真っ赤なスポーツカーで見知った顔が登場した。笑みがこぼれた。フーッ、ひと安心。
私は成功の秘訣は「深く考える」これが鍵だと思っている。ヒトの言動には必ず理由がある。そこを理解しないといけない。そういうこと。