NY エンパイア・ステート・ビルディング
1931年に竣工したマンハッタンの超高層ビル。展望台から望む360度大パノラマは圧巻の一言だ。眼下に見下ろすニューヨークの市街、ハドソン川、海に浮かぶ貨物船、飛び立つ飛行機……アール・デコのクライスラービル……。
しかし、私は眺望以上に強く感じたことがあった。
一足目にずっしりと建物の硬さが身体に響いた。時代を支える剛柔な「鉄」・「鉄骨」の素晴らしさが全身に伝わってくる。同じ電波塔であるエッフェル塔もさることながら、世界都市NYに威風堂々と聳え立つこのビルは人類の技術の象徴である。1931年か……。凄いの一言。この頃はTOWERのゲーム企画に携わっていなかったから、エレベータの評価はしなかったのが残念でならない。
エレベータの評価といえば、上海の高層ホテルにエレベータ評価を目的に宿泊したことがある。72時間以内ならビザ不要の時代、週末の時間を利用して訪問した。エレベータと中国語のキーボード入力操作を評価したかったからだ。螺旋形状の美しい吹抜、見下ろす1階ラウンジのミニチュア模型のような可愛らしいジャズバンド。遠くで奏でるサックスの反響音。それらの景色を横目にエレベータを降り、ホテルから本格中華を楽しみに外に出た直後、足の親指がズキンと痛くなり動けなくなった。仕方なく出てきたばかりのホテルの部屋に戻った。
72階の部屋のドアを開けると、ボーイ風の男が室内にいて、私のスーツケースを開けていた。ビックリだ。この一流ホテルで……「何している?」
ボーイ風の男:「掃除に来ました」
私:「スーツケースの中は掃除しないでくれ!」
男は勢いよく部屋を飛び出した、足の親指の疼きはなくなっていた。が、追う気にはなれない。あきれた話だ。
結局、中国における「エレベータ」と「キーボード」の評価が、「ホテル」の評価まで発展してしまった。あれから上海を訪れていない。
写真はアブダビで宿泊したホテル外観。