20220620
日曜日の夕方、ユーチューブを見ていた。
「全日本大学駅伝 関東地区予選会」である。
残念ながら、応援していた大学の本戦参加は叶わなかった。絶対に大丈夫と思っていただけに、この厳しい現実を前に考えさせられた。
「確実」が求められるなかでの出走人選の難しさ。複数の経験者で実績の高い選手が選ばれなかったなかで、初めてのメンバーも入っていた。結果的に初めて出走選手の記録が足を引っ張った。駅伝監督の立場になって考えると、様々なことを考慮しての人選だったに違いない。恐らく、選手よりも監督が一番不安だったかもしれない。
気になったのは、監督と選手はこの予選会に臨むにあたり、どんな話し合いをしたのだろう。どんな向き合い方をしたのだろう。ゲームプランのシミュレーションはどうやったのだろう……。
・選ばれた選手が当日の気候にどれだけ強いのか?
・重圧をはねのけるメンタリティの強さはどうなのか?
・直近の記録会で失速したスタミナは克服されたのか?
・前半の組の結果で後半の組はどのような作戦でいくのか?
などなど
こういったチェックポイントが、平常の力を出せるかどうかの鍵になったようにみえた。当日は蒸し暑かった。30℃近い気温で湿度も70%前後での開始だった。特に、最初の2組は日が照らすゾーンもあった。この環境は全参加者に共通ではあるが、個人の対応力の強さは全く別物だ。
監督業は、全体の資産をフル活用して結果を残す企業経営と似ている。
では、私ならどうしただろう?
勘に頼らずにデータでサイエンティフィックに人選したと思う。パラメータはたくさんある。当日の風や温度・湿度といった環境との相性、個々人のメンタルの強さや難所対応力や戦歴実績、直近の状態、怪我からの復帰状態や健康データ(筋力の状態など)のトレンドをデータベースとして構築し、フィードバック系のある判断プログラムに任せる、何とも味気ない話になってしまった(笑)。
だが、「確実」を求められる試合では、このシステムは頼りになる、間違いが少ない。その積み重ねを続けることで素晴らしい判断につながることは確かである。
確かに、やる気の測定は難しいが、やる気だけでもダメだからだ。
少し過剰に反応する自分は経営者に不向きと思った時代もあった。
向き不向きは大切なことだ。だが、過剰に反応するとか、臆病というのは、むしろ失敗しづらいと考えて気を取り直した。
それでも悩み、落ち込むことがしばしばある。
経営というのは予想外がつきもので、外部企業との関係性で成り立つ世界だから、そう自分の思った通りにはいかない。
計画が未達だと、その原因をつきつめ、解決プランのもとに行動するといった、PDCAサイクルを何度か回す。
いつしか、最悪の事態を想定しながら、準備を怠らなくなる自分が育つ。それでも簡単にはいかないから、数字が作れるまで、結果が出せるまで、多くの一次情報を収集し、選り分け、考えに考える。パフォーマンスを出すというのは簡単なことではない。
個人の状況、家庭の状況、取引先の事情、社会の情勢といくつもの要素のなかに自社が置かれ、なおかつ、結果を出さないといけない。だから、100%思い通りと考えると大失敗となる。想定外のときにどのように振舞うか? この対応力が重要となる。同時に相手の資産を活用してキャッシュを得るような虫のいいビジネスは長続きしないから、最初から考えない方がいい。紹介していくら、みたいなビジネスのことである。
それぞれのプランに余裕をもてるぐらいの、自社のビジネスモデルをどう作るか?
ここにフォーカスして、少ない資産を集中させる。ビジネスモデルというのは魔法の杖だ。できればキャッシュを生む自動製造機になってほしい。こう願う。
その事業にとって、いま、何が最大のポイントなのか?
この一点で方策を練る。
それから、相手の立場になって、考えて分かり易い伝え方になっているのかの点検も怠らない。伝え方・見せ方で結果がかわってくる。
以降の駅伝イベント参加では、コンピュータが推測を苦手とする、開き直りの度胸をもって勝ち進んでもらいたい。なお、若いうちの失敗は人生の宝だと思う。結果的に失敗した選手もその宝の価値に気が付く日がくることでしょう。また、弱さがあるのが人間であることも……。